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もっとも一般的なカートレースは、サーキットごとに開催されるもの。サーキットごとにレギュレーション(規則)が定められ、シリーズ戦もひとつのサーキットで実施される。
このようなレースを一般的に「ローカル選手権」と呼ぶ。
ローカル選手権にはドライバーのレベル等に応じて、さまざまな「クラス」が設けられている。このクラスは、基本的に全国共通の設定になっており、“どのエンジンを搭載して、どのタイヤを装着するか”で決まる。
ローカル選手権でもっとも歴史があるのが、通称「SLレース」こと「TOYOTA SLカートミーティング」。ドライバーの年齢などに応じてさまざまなクラスが設けられているが、どのクラスも空冷100ccエンジンのヤマハKT100Sシリーズを使用する。
2000年辺りから盛んになってきたのが、電気式スターターを備えた125ccエンジン(水冷方式が一般的)を使用するレースだ。これには「ロータックス125MAX」「ボルテックスRok」「PRDアバンティ」「イアメ・パリラX30」など、搭載エンジンの銘柄によっていろいろなクラスがある。
いずれのエンジンもヤマハKT100Sシリーズより排気量が大きく、最大出力・トルクに勝っているので“中・上級ドライバーのためのクラス”という色合いが強い。
フォーミュラマシンにF1、GP2、F3……といろいろなカテゴリーがあるのと同様に、レーシングカートにも多くのカテゴリーがあります。レーシングカートの最高峰に位置するのが「KF1」です。
KF1のシャシー(車体)は、基本的にローカル選手権で使用されるものと同じなのですが、前輪にも作用するブレーキを備え、より高度なブレーキングとコーナリングを生み出します。エンジンは水冷125cc。一般的なカートレースでは、エンジンはワンメイク・無改造(ストック)なのですが、KF1では複数のブランドからエンジンを選べる上、チューニングも可能。低速域からトップエンドまで、ストックエンジンとは別物のトルクとパワーを発揮します。
さらにKF1を特別な存在にしているのが、このカテゴリー専用に作られたタイヤです。耐久性と引き換えに究極のグリップ性能を与えられたスペシャルタイヤは、そのマシンに恐るべきブレーキングとコーナリングをもたらします。
KF1のレースには複数のタイヤメーカーが参入して、激しい開発競争を展開。これも、KF1のタイヤを極度に高性能化させる要因になっています。
そんなKF1のレースではドライバーのみならず、チーム、カートのメーカーやインポーター、エンジンチューナー、タイヤメーカーが一体となって、それぞれの名誉を懸けた激烈な戦いが繰り広げられます。
KF1とはまさしく、「カートのF1」と呼ぶべき世界なのです。
KF1カテゴリーのレースは、日本では「全日本カート選手権」として開催されています。2011年には、5カ所のサーキットを転戦するシリーズが実施されました。開幕戦から4つの大会は2レース制で、最終戦のみ1レース制。つまり、全9戦のチャンピオンシップです。
そのレースには、下位のカテゴリーで実績を挙げステップアップしてきた若手、豊富な経験を誇るベテラン、フォーミュラにも同時参戦している俊英……と、日本を代表するカートドライバーが集結。毎回、息を呑むような激しいバトルを繰り広げられます。
全日本カート選手権のシリーズランキング上位6名には、16歳からフォーミュラレースに出場できる“限定Aライセンス”が発給されます。若手ドライバーのほとんどは、これを狙ってレースを戦っています。
KF1のレースは、数年後のフォーミュラレースやスーパーGTの姿を占えるものでもあるのです。
KF1は、世界自動車連盟の一部門である国際カート委員会(CIK-FIA)が制定した、世界共通のカテゴリー。全日本カート選手権のみならず、海外でもヨーロッパを中心として国際レースのシリーズ戦が開催されています。そのひとつが、CIK-FIAが直轄運営する「世界カート選手権」。これは、その名のとおり、カート界の世界最高峰に位置するシリーズ戦です。
世界カート選手権と並ぶKF1のレースの代表格がWSK(WinnigSeries Karting)。こちらは独立組織が運営するシリーズ戦なのですが、現在ではCIK-FIA直轄のレースに匹敵する存在へと成長しています。世界カート選手権にもWSKにも、多数のカートメーカーが自らワークスチームを結成して参戦、それぞれの名誉を背負った死闘を繰り広げています。
ローカル選手権から始まるカートレースの世界には、カート界の頂点やプロのレーシングドライバーを目指す選手たちを支援する仕組みも存在する。
その一例が「TOYOTA/YAMAHAスカラシップ」。ヤマハがトヨタ自動車(株)の協力を得て実施しているスカラシップ(奨学生制度)だ。